アニメプロット分解『ヘボット!』②
ほんと可愛いですよね、うどんさん。
写真は抱き枕です。
私物です。
何か?
----<キリトリセン>----
きわめて自然な導入から始めましたが、前回からの続きになります。
https://www.nagoyatv.com/heybot/
荒唐無稽な男児向けギャグアニメ『ヘボット!』のプロット分解です。
前回はシンプルな分解だけをしましたが、もうちょい踏み込んでみます。
ただ、プロットがですね。
どうやって書いたら見やすくて面白いのかすごく悩むんですよ。
回を重ねるごとに改良していこうと思いますが、さしあたり今回は
①ざっくり要点だけ並べて
②気になるテクニックを見かけたらコメントを差し込む
みたいな感じにしてみようかと思います。
それでは、どぞ。
----<キリトリセン>----
未視聴の方はネタバレになりますのでご注意ください。
また、例によってオマケ程度の内容です。
未紹介の概念が含まれている上に箇条書きなので、
無理に見なくてぜんぜん大丈夫です。
ヘボット! 第一話 構造分解
<アバンタイトル>
・宇宙戦争の描写(天地人)
「なんとしてでも次元ネジを停止させるのじゃ!」
→次元ネジ(最終目的?)という謎の提示
・トキトキネジを起動
ヘボットも作中でちょっと言ってますが、
『トキトキネジ』が時間を超える能力を持っているような見せ方です。
未来のディストピアに居たヴィーテ姫が、過去にタイムトラベルし、
現代での狂言回しをしているような感じですね。
……っていうフリをしてるだけのギャグでしたー
みたいなオチでも僕は知りませーん。
<Aパート>
・ネジール王子を、描写で自己紹介
→狂信的なネジ好き
→朝は猫メイドに起こしてもらっている
→着替えまで、自動の機械にしてもらっている
→正装を着て、王冠をかぶる(描写で身分を説明)
一話のラストシーンに向けての布石が詰め込まれています。
身分が高く、何不自由ない暮らしをしている感じを
一気に見せていますね。
これだけを描写で紹介した後、続けて口頭で説明セリフが入ります。
年齢とか、国とか、ボキャボットとか、いろんな世界観を語りつくします。
テクニック的には説明セリフって悪手なんですが、
ひとつでっかいメリットがありまして。
『尺を短縮できる』
……つまり短い時間に大量の情報を伝えることができます。
世界観の説明をテクニック的に美しく描写することは重要ではないと
割り切って、テンポを優先したのでしょう。
・国王がネジ魂の説明をする(第一話の仮目的を提示)
・ネジ魂が逃げる(障害のスタート)
・ネジール王子、追いかける(主人公の行動方針が変化。ターニングポイント)
・国民が見送る(王子の境遇の強化描写)
・色々な障害を乗り越えて
→体力ゼロなのでバテる「三分以上走ったの生まれて初めてだよォン」
→カットビタイガーに絡まれる
→ネジ魂が海を越えて去っていく
→白熊にバットで吹っ飛ばされる
→崖から落ちて気絶
このあと、夢(回想シーンみたいなやつ)でヴィーテ姫が声をかけてくれますね。
『ヴィーテ姫にまで助けてもらっていることで、一人で何もできない王子』
と受け取るか。
『ヴィーテ姫が主人公に好意的な人物であることを伝える紹介シーン』
なのか。
『ネジ魂を確保するまでにある程度の時間がかからないと納得感が薄い。ので、視聴者が納得できる体感時間を稼ぐための捨てカット』
と判断するか。
微妙っちゃ微妙です。まあ、いずれかの思惑の複合でしょう。
<Bパート>
・ネジ魂を手に入れ、ヘボットを起動させるが上手くいかない
→起動してもすぐにバラバラになる
→電池がない(スカイラビットが助けてくれる)
→電池を調達しても、交換の仕方がわからない
(DJサルッキーがアドバイスしてくれる)
この辺はぜんぶ、王子のダメさの描写です。
つまり、引き続き障害の配置と、
一話ラストシーンに向けての伏線が貼りまくられているわけですね。
・城に戻って、現国王とのボキャバトル開始
国王「勝ったらそなたが今日からキング!」
・わけわからんルールで勝敗が決まる。(描写と口頭でルール説明)
・国王の『朝までパーリィー』ハイパーコンボに対して、王子は滑りまくる。
ネジ王「滑りすぎて寒いの通り越して、恥ずかピーなり……」
まあ、よくわかりませんが負けます。
一話は十回以上繰り返し見たんですが、いまだにルールはよくわかりません。
要するに人生最大の敗北を味わうシーンです。
シナリオ業界では、
『主人公にとって最も起こってほしくないこと』を考え続けるのがセオリーです。
物語は、主人公の『障害』で成り立っていますからね。
んで、その中でも一番の大敗北がこのパートです。
別に『ヘボット!』じゃなくても、だいたいこのあたりで大敗北します。
心境を変化させる『きっかけ』ともいえる大事なシーンですね。
詳しくはまたちゃんと記事にしてご説明します。
・屁・ボーン! で城が便器に変わる。
・国王の逆鱗に触れて、城を追い出される
国王
「ネジを知り、ボキャバトルを極め、もう一度我に挑め!
これかなわぬ限りここに戻ること断じて許さぬ!」(物語全体の仮目的の提示)
あとは前回も書いた通りですね。
<心境を変化させた>
・国を追放されたネジール王子は、
今まで使っていた施設も権力もなくなり、
助けてくれていたメイドたちもいなくなり、
初めて、自分(とヘボット)だけの力で前へ進もうと歩み始めます。
そんで、ここまで実は名前を付けていなかったヘボットの命名をします。
王子
「君はホントにヘボいね。じゃ名前は、ヘボいボキャボットだから、ヘボットだ!」
けものフレンズと同じです。
名前の呼び方が変わるのは、『あなたのことを認めましたよ』という証です。
ヘボット第一話では、ストーリー本筋としてではなく、
エッセンスの一つくらいに描かれていますが、こういったものも
同時進行できちんと描写されているわけです。
カブってるとか、真似してるとか、そういうんじゃなくてですね。
『承認』と言うんですが、他者同士がお互いを認め合うのって、物語すべてのとても大事なファクターなんです。
そのあたり、抜け目ないというか、ちゃんとした作品だったりしてますね。
----<キリトリセン>----
こんな感じかな。
相変わらず駆け足でしたが、けもフレよりは見やすくなったかなー……?
がんばりますので、どうぞよしなに。
色んな専門用語が出てきてますが、
これからゆっくり紹介していきますので。
まあ、よしなに。どうぞよしなに。